反戦・平和
反戦・平和 : 韓国市民の募金による意見広告(7月27日、朝日新聞・朝刊に掲載)
ともに東アジアの平和の担い手へ
扶桑社版歴史教科書の採択を憂う韓国市民の思い
平和を願う日本の友へ
この文は皆さんと真の友人になりたいと願う韓国市民からの希望と友情の手紙です
韓国と日本は数千年にわたって近しい隣人として過ごしてきました。両国は20世紀初めに支配と被支配の不幸な歴史も経験しましたが、いま私たちの前には新しい日韓関係の可能性が芽生えています。1日に1万人以上が両国を行き来するほど、私たちの距離は狭まりました。日本の歌を口ずさむ韓国の若者や、「韓流」ブームの主役となった日本の女性たち誰もが、お互いを身近な存在として感じるようになりました。
ですが、韓国の私たちは時に悲しい思いにかられることもあります。韓国の人々が忘れたくても忘れられない歴史の痛みに、再び傷を与える出来事のためです。歴史を歪める日本の政治家の発言に、つらい体験をした私たちの両親や祖父母は心を痛めます。過去の侵略戦争や植民地支配を正当化する歴史教科書の登場は、子どもたちに不幸な歴史を引き継がせてしまうのではないかという恐れを抱かせます。
私たちは過去にとらわれるためではなく、和解と友情、平和な未来をひらくために、歴史を知ることが大切だと信じています。「知らない」ことは、時に人の心を深く傷つけてしまうからです。
日本全国で教科書選択が行われている今、「新しい歴史教科書をつくる会」による扶桑社の歴史教科書は、韓国の人々の心に暗い影を落としています。扶桑社の歴史教科書は、アジア諸国を共存のパートナーと見なさず、過去の侵略を正当化したり、戦争を讃美しているためです。韓国の私たちは、扶桑社の歴史教科書によって、日本の民主主義が後退し、韓日の友情と和解、アジアの平和が損なわれることを憂いています。
このような教科書が、日本の教育現場で使われることになってしまったら・・・韓国の子どもたちのパートナーである日本の子どもたちがどんな大人へと育つのか、日本が危ない国としてアジアを再び脅かしたりはしないか、韓国と日本が真の和解を果たした友ととして、ともに平和を創り上げることができるだろうか・・・。そういった心配から、の本の行方を不安の中で見守っているのです。
平和を愛する日本の皆さん!
私たちは4年前の教科書採択当時、皆さんが「扶桑社のあぶない教科書NO!」を各地で叫び、戦争ではなく平和への道を選択されたことを鮮明に覚えています。平和を願う市民の小さな行動が日本全域に広がり、世の中を動かす力へと変わっていく様子を観ることができました。
2005年のこの夏、皆さんはどのような選択をなさいますか。皆さんの大切な子どもたちにどんな教科書を手渡しますか。日本を見守る韓国とアジアの友人たちに、皆さんはどのような行動で応えてくださいますか。
私たちは、日本が過去の被害国との歴史の葛藤を乗り越え、アジア諸国からの信頼の中で、ともに平和を創る友の国となってくれることを心から願っています。どうか歴史を歪めない教科書と平和を目指す教育を選ぶことで、その最初のボタンをかけてください。
不幸な過去をくり返さないために、子どもたちに平和な未来を与えるために!
2005年7月27日
韓国の友より、平和への希望を込めて
アジアの平和と歴史教育連帯
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