4月20日の東亜日報
投稿日時 2004-04-22 22:35:47 | カテゴリ: 反戦・平和
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(絵・虫プロの有原誠治監督)
4月20日の東亜日報に報道された記事を掲載いたします。 (東亜日報・韓国の代表的日刊紙。1920年創刊、40年強制廃刊されたが、第二次大戦後の45年末に再刊。) ほんとうに酷い日本の現状に少しでも情報が交換されて拘束された皆さんと心を繋いで平和への歩みを続けていきたいと思います。(おおきせいこ)
東亜日報(4月20日) 罪人のようにーーー釈放日本人たち、肩を落として帰国。
「手錠をしていないだけで、彼らの様子は極秘裏に海外から移送された犯罪人と変わりがなかった。イラクで武装勢力の手によって拘束され、一週間後に釈放された日本人のことである。日本時間で18日夜、日本に帰国した様子をCNNで見ると、何かおかしいと感じたのは私だけではないはずだ。
バグダッドのホテルで帰国の様子を私と一緒に見ていたイラク人は”彼らは英雄のように歓迎されることはあっても、あのように犯罪人のようにコソコソ帰るなんておかしいじゃないか”と興奮気味に私に訴えた。殺害される危険と直面しながら無事に帰還できた喜びすら正直に表現できない国なんて民主主義ではないと言うのだ。
イラク人は日本のことを好意的に感じているのだが、今回の日本人人質に対する日本政府やマスコミの扱いに対してはイラク人は非 常に憤慨している。テレビで見ると、帰国した日本人人質たちは一様に沈痛な表情をしている。彼らの両親や家族なども再会の喜びを表現できずに、ただひたすら、”ご迷惑をおかけして申し訳ありません”と謝り通しだったという。
その後さらに釈放された二人の日本人の場合にも同じことが言える。そのうちの一人、ミスターヤスダは私と同じフリーランスのジャーナリストである。昨年三月にバグダッドで一緒に写真を撮って欲しいと言われて記念撮影したことを思い出す。まだ若く、達者な英語で私に語りかけてきた。私はベトナム戦争でも多くの日本人記者と出会っている。イラクではゆっくりと話をする機会はなかったが、彼らの理想主義には脱帽する。その彼がまるで犯罪人のように頭を下げて日本に帰って行く。何かおかしくはないか。ミスター・ヤスダはヨルダンでの記者会見場でも”すみませんでした”と謝罪していたという。何に対して謝罪していたのだろうか?彼らは世論からバッシングを受けて、ただひたすら謝罪を繰り返していた。おかしな話である。
日本社会はイラクで武装勢力に拉致されて釈放された彼らに対してどうしてあのような仕打ちをすることができるのだろうか。 その一つの理由は政府が旅行禁止区域として勧告したにもかかわらず、旅行を強行して今回のような事件に会ったことに対する非難である。それだけではないだろう。彼らは全員といってよいが、イラク戦争に反対しており、日本の自衛隊のイラク派遣に反対する立場をとっていた人たちだ。政府の立場を支持したり、自衛隊派遣に賛成する立場の人は一人もいなかった。 もし彼らの一人でも自衛隊派遣に賛成であったり、日本政府のイラク戦争賛成の立場に同調する人が拉致されていたら、日本政府はどう反応しただろうか。帰国するときも今回里茲Δ法票?弊嫻ぁ匹任箸聾世錣覆い世蹐Α
拉致事件直後、日本社会の一角では、”拉致された彼らは自衛隊撤退を促すための世論作りのための自作自演劇ではないか”と怪しむ声もあったという。そして彼らは釈放されるなり、”イラクに残って仕事を続けたい””こんな経験をしたけど、イラク人を嫌いにはなれない”と涙ながらに訴えていた。
彼らは当たり前のことを言ったにすぎない。
再発防止のために”危険地域旅行禁止法”を作るとか、人質にとられた人間から帰国のための航空運賃代を徴収するという発想も日本でしか考えられないだろう。
韓国を始め、フランス、中国、ロシアなど多くの国の人々が拉致されているが、日本のように人質に取られた本人が謝罪する国は日本だけしかないだろう。生還の喜びすら人質から奪ってしまった日本社会はやはり侵略戦争を国を挙げて支持した昔ながらの集団主義から脱却していない不気味さを感じた。
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