「五つ違いの兄・・・山本良夫」

投稿日時 2004-12-23 22:51:05 | カテゴリ: 反戦・平和



「五つ違いの兄・・・山本良夫」  大木晴子

 増田明美さんの優しい誠実な語りで兄の挨拶文が朗読されました。



横に座る兄は何度も目頭をおさえ、たくさんの「ありがとう」の言葉を心の中で繰り返していたのではないでしょうか。
兄が会場の皆さんにお伝えしたい3つのことの最後に・・・こんな思いが。

 三番目は、ガラッと変わりますが「われら、秩父困民党、暴徒と呼ばれ暴動と呼ばれることを拒否しない」という音楽寺(秩父23番札所)にある「秩父困民党事件100周年記念・無名戦士の墓」にある言葉です。この12月5日に、妻に介護され前々から見たかった『草の乱』という映画を見ることができました。?120年前、すごいやつらがいた?という副題のある、秩父困民党事件を描いた映画です。中学生のころから困民党には興味があって、ほとんどの文献は読んでいたのですが、映像で再現する困民党の姿には、改めてすごいものがあると感じました。映画は自分の中の困民党の再確認作業として有意義でしたし、8000人からのボランティアのエキストラ出演や何億円もの制作費集めの話など、その製作にかかわる話も興味深いものでした。しかし、映画を見ながら私の心の大部分は「イラク」にありました。
『アメリカの正義』の名のもとに、虐殺され続けている10万人以上もの罪無きイラク国民の姿が重なりました。今、イラクに国際的な呼びかけに基づく「人民解放戦線」が結成されるなら、直ちに戦列に加わり、先頭に立って「テロ国家アメリカ」と戦うだろう、と私は夢想したりしていました。
 
言うまでもなく、私たちの仕事は、平和なくして存在しません。憲法九条という世界に誇りうる日本の財産を、あっさりと捨て去り、堂々と戦争に参加できる国にしょうという動きが急です。平和を守り抜くには戦いが必要です。その戦いはこれからが本番だと思っています。私たちは開設以来、一切の政治的活動をしてきませんでした。利用者の思想・信条の自由は最大限保障されなければならないとの配慮からです。しかし、平和を守る戦いは政治活動ではありません。人間の生存を守る、最も基本的な権利を守る戦いだと思います。 

私は、涙があふれ「そうだ、そうだ」と心で叫んでいました。 
 兄、山本良夫は17年前、姥山寛代さん(ゆきわりそうグループ代表)と母が残したアパート(ゆきわりそう)の数室を使い障害者を生活者としてみる、そして地域の中で共に育む生き方を実践してきました。眼の行き届いた小さな集団にこだわり、また決められた枠組みにはめるのでは無く、夢のある希望に繋がる楽しいことにこだわり続けたゆきわりそうだから今のように大きく羽ばたけたのだと思います。 



(和太鼓の演奏、第九の合唱そして二十歳を迎える皆さんと家族の方へ優しさがいっぱい詰まったプレゼントと花束が贈られました。) 
12月23日、ゆきわりそうグループの「第17回ミュージックパーティー」が行われました。数年前、少しバラバラだった和太鼓の演奏も今日は、温かい大らかな響きが会場に、兄も参加してベートーベンの「歓喜の歌」が合唱されました。 



私は、「傷がはがれることは無いと思うけど・・・」と腹帯を巻いて参加している兄に苦笑してしまいました。子どもたちと歌っている顔は活き活きして素敵でした。 
 昨年の11月に胃がんの手術を受け、今年の8月に再発、胃のバイパス手術と胆道ステント挿入術を受け、抗がん剤を利用して頑張っている兄は、今までの歩みの中で注いできた優しさを今度は、たくさんの皆さんからいただいています。 
「山本さんは、何もしなくていい。息をしていてくれればいい」と言ってくれた子どもの言葉が嬉しい、そして何時も温かい眼差しで共に歩んでいる義姉、敏江さんに「ありがとう」と何時も思う。(おおきせいこ)
 


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ゆきわりそうのホームページです。 
兄は、不定期連載コラム「群馬の畑から」を書き始めました。 
「群馬の畑から」からは、兄が亡くなった後、素敵な仲間たちが更新しています。新しい芽はスクスクと育っていきます。

http://www.akemi-masuda.jp/
増田明美さんのホームページです。 
「おしゃべり散歩道」でゆきわりそうのことを・・・。 

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意思表示2年目最後の土曜日、兄は旅立ちました。

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「あなたの妹に産まれて・・・・」

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2月16日東京新聞・「TOKYO発」




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