メイン つぶやき 由井晶子著『沖縄 アリは象に挑む』 書評・村雲 司(「市民の意見」ニュースNO128) | 投稿するにはまず登録を |
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seiko | 投稿日時: 2011/10/6 23:05 |
管理人 登録日: 2003/9/21 居住地: 投稿: 3623 |
由井晶子著『沖縄 アリは象に挑む』 書評・村雲 司(「市民の意見」ニュースNO128) (『沖縄 アリは象に挑む』著者の由井晶子さん・撮影:大木晴子) 人災の年譜 村雲 司 「沖縄」―アリは象に挑む (由井晶子著/七つ森書館/1800円) 軍事基地の問題は、どのように些細なことであろうと、一国の平和に関わることとして、全国民の問題である。 ましてや米軍基地となれば世界規模の問題となる。この重い課題を、孤立して背負わされ続けて来たのが沖縄である。 その苦闘を仔細に記録した本、「沖縄」を紹介したい。 著者・由井晶子さんが、一九九八年から二〇一一年まで、沖縄における普天間基地移設問題の動きを「労働情報」誌に掲載したものだ。 だから単なる歴史書ではない。掲載時の流動する状況に対する思いが同時進行で綴られている。沖縄の人々の期待がどのように裏切られ、 希望がどのように繋がれて来たのかが、生々しく伝わって来る。 一九九五年九月四日、米兵三人による十二歳の少女に対する性暴力事件が起こった。それを端緒に、沖縄の人々は、遂に超党派で結集し、 八万五千人の県民総決起集会を開いた。この情勢を沈静化させようとして一九九六年に発表されたのが、普天間基地全面返還の日米共同声明である。 その時、何と「五年から七年以内に」と、具体的期限まで明示されていた。ところがその後、代替施設を県内に建設する政府間の約束が明らかにされた。 強行しようとする日米政府と移設先とされた辺野古をはじめ沖縄の人々の根強い抵抗の中、十五年後の今も、世界で最も危険な普天間基地は、変わらず存在し続けている。 この本には日米政府の手練手管の十五年、そして背景にとぐろ巻く戦後六十六年の歴史が、まざまざと描きだされる。 これはまさしく人災ではないか。繰り返し押寄せる津波という天災にもまさる、恐るべき人災の津波ではないか。震災と同様に、沖縄の平穏な日常を奪い続ける人災。 この人災はどのような仕組みで起こるのか。官僚は日本政府や国民ではなく、まず米国政府の顔色をうかがう。日本政府も同様だ。 例外的に変革を期しても、官僚が動かなくては手も足も出ない。そして、その理不尽に目をつむり続ける本土のマスコミ。 二〇〇四年、普天間の米海兵隊ヘリが沖縄国際大学に墜落して、普天間基地の危険度を白日の下にさらす事件が起きた時さえも、 なんとプロ野球巨人の渡辺恒雄オーナー辞任のニュースを優先させる有様だった。そして何よりも、ナベツネ辞任に心奪われるばかりの、 われわれヤマトンチューである。これらが沖縄人災の複合震源である。 天変地異は避け難いが、人災ならば必ず防ぐ手立てがあるはずだ。まず最も大きい人災の源、われわれ本土の人間が変わらねばならない。 在日米軍基地の七五%を沖縄に圧し付け、見て見ぬ振りをして過ごす。この欺瞞に満ちた姿勢をまず変えなければならない。 官僚を、政府を、マスコミを変えるための、それが第一歩だ。 アリの一匹となって、象の脚に這い登る覚悟を持てと、一ページ毎に、淡々と事実をもって迫って来るこの一冊を、是非とも多くのヤマトンチューに読んで貰いたい。 (新宿西口地下広場に立つ村雲さん 撮影:大木晴子) (むらくも・つかさ 「梅が丘通信」 発行人) 11-10-06(おおき せいこ) 「市民の意見30の会・東京」HP http://www1.jca.apc.org/iken30/ 「市民の意見30の会・東京」ツイッター http://twitter.com/#!/iken30 以前に書いた由井晶子さんのページ。 由井晶子さんの『沖縄 アリは象に挑む』出版記念トーク&レセプション 写真を掲載しています フォトアルバム http://seiko-jiro.net/modules/myalbum/photo.php?lid=687 |
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