メイン つぶやき 大木茂 写真集「汽罐車 よみがえる鉄路の記憶 1963-72」NO1 ★東スポWebの記事など書評掲載 | 投稿するにはまず登録を |
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seiko | 投稿日時: 2011/3/10 23:44 |
管理人 登録日: 2003/9/21 居住地: 投稿: 3623 |
志村建世さんの「志村建世のブログ」に書評を書いていただきました。 (新宿西口地下広場に立つ志村さん) 「志村建世のブログ」 http://pub.ne.jp/shimura/ 「汽罐車 よみがえる鉄路の記憶 1963-72」 写真集だから「……を観る」とすべきところですが「……を読む」とすべきか迷いました。じつに立派な写真集ですが、私には「読んだ」満足感の方が強かった本でした。大木茂さんは新宿西口のマドンナ大木晴子さんのご夫君です。発行は新宿書房、大判の写真集です。 撮影期間は1963年(昭和38)から72年(昭和47)までの9年間、著者の高校生時代に始まり、蒸気機関車の引退とともに終っています。にぎにぎしい「SLブーム」とは無縁の、蒸気機関車が人や物を運ぶ頼もしい実用に活躍していた時代への讃歌なのです。 モノクロの画面から伝わってくるのは、機関車がまさに生きていた時代の実感です。そして細かく書き込まれた撮影日時・場所、機種の精密なデータは、機関 車に対する著者の本物の愛情と関心の深さを物語っています。それを巻末にまとめた解説文と読み合わせると、機関車を撮影することと著者の成長とが、固く結 んで一体になっていることが、よくわかるのです。 私も汽車が好きでした。近所にあった戦時中の田端機関庫で、蒸気をためて待機している機関車の巨体を間近に見ると、空襲で痛めつけられている中でも、ま だ日本は大丈夫だと一時の安心を得られるのでした。山手線の貨物線を走るD51やD52の引く列車の貨車の数は、40両前後であり、最大記録は45両でし た。そうした悲しいほど切実な汽車へのあこがれを抱いていた少年期の記憶がよみがえります。 それにしても、著者の考証は徹底しています。たとえば8620と9600型の製造番号の表記法の複雑さは、今までにどんな本でも読んだことがありません でした。8620は80進法で、9600は100進法で進むとは、想像を絶していました。職人的な「合理的な不合理」と言うべきでしょう。好きなものは、 隅から隅まで知りたいものです。著者は「機罐車」の職人技に魅せられることによって、写真の職人になって行ったのに違いありません。 この写真集を、今の時点で世に出すことの意味は何でしょうか。「僕にとっての蒸気機関車とは、使い捨て物質文明に潰されてしまった人々の優しい心根への オマージュではないかと、今は考えている。」と著者は書いています。その言葉に深く同感するとともに、人間そのものを使い捨てにするかのような現代の経 済・産業社会の中にあって、私たちは何によって人間らしいつながりを再建したらよいかを考えざるをえません。そうした「文明と人間との関係」までも考えさ せてくれる本でした。(2011.3.10) http://pub.ne.jp/shimura/?cat_id=30347 (読書・評論) 大木茂 写真集「汽罐車 よみがえる鉄路の記憶 1963-72」NO2 |
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題名 | 投稿者 | 日時 |
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大木茂 写真集「汽罐車 よみがえる鉄路の記憶 1963-72」NO1 ★東スポWebの記事など書評掲載 | seiko | 2011/3/4 17:58 |
Re: 写真集「汽罐車 よみがえる鉄路の記憶 1963-72」 | ゲスト | 2011/3/5 12:16 |
素敵なブログ記事を書いていただきました。 | seiko | 2011/3/9 10:08 |
» 志村建世さんの「志村建世のブログ」に書評を書いていただきました。 | seiko | 2011/3/10 23:44 |
KY生さんのブログにも!! | seiko | 2011/3/11 8:42 |
原爆の図丸木美術館学芸員・岡村幸宣さんの日誌に!! | seiko | 2011/3/17 15:08 |
『書評』 | seiko | 2011/4/16 17:47 |
図書新聞!・・・・掲載が楽しみ!! | seiko | 2011/4/22 8:03 |
東スポWebから・・・・。 | seiko | 2011/4/22 21:52 |
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